NPO理念
日本には、100年大切に使い続けた道具類はやがて魂をもち、道具そのものが
「つくも神(九十九神、付喪神)」になるという伝承があります。
使い捨てやインスタント製品が溢れる現代、地球規模の環境問題が深刻化し、物や人への関心が希薄といわれる世代が生まれています。その一方で、人生100年という時代になったことで、人生の豊かさ、心の豊かさということに立ち返る時流も起きています。
伝統工芸品には、長年にわたり培われた技と、技を受け継いできた手や想いの温かさがあります。何より上質で丈夫なものが多くあります。質の良いものを大切に使い続ける、自分の持ち物に愛着をもつ、作り手の存在を感じる、そういったことが「豊かさ」につながると考えています。
例えば、缶コーヒーと九谷焼のカップに淹れたコーヒーでは、忙しい日常のひとときの癒しの質が違います。プラスチックのお椀と漆塗りのお椀では、口当たりが違っていつものお味噌汁が一層美味しく感じられ、食卓をより温かくします。伝統工芸品を使うことで簡単にちょっぴり丁寧な空間(空気と時間)を作ることができるのです。
伝統工芸品というと、それだけで敷居が高い、自分の生活には縁がないと思い込んでいる方がたくさんいますが、工芸品はもともと日用品です。私たちは小さな子供も一緒にどんどん使ってほしいと考えています。子供たちは工芸品を通して日本文化と物を大切にする心を学ぶことができます。
世界に誇れる日本の伝統工芸品ですが、個人や家族だけで経営している職人は、手間暇がかかるのに採算が合わなかったり、そのために後継者もいない、現代に合わせた商品や販路を検討したいと思っても自身が高齢であったり製作だけでなく事務作業にも時間が取られるなどの理由で難しい、といった問題を抱えているのが現状です。
私たちの、伝統工芸品のある日常の良さを広め、手に取る機会を作り、新しい販路を開拓し、消費者が欲しくなる商品を企画・販売するという活動は、職人支援事業でもあり、伝統工芸品を手段とした教育事業でもあります。
伝統工芸品を1つのツールとして、グローバル社会の中で日本人が自国の文化や歴史、生き方を誇りに思える世界を創ります。どの家にもつくも神がいる、そんな世界は本当に豊かだと思いませんか?
NPO法人 伝統工芸つくも神

組織情報
名称
特定非営利活動法人伝統工芸つくも神
設立日
令和元年(2019年)8月23日